肝炎ウイルスと肝臓がん発生

知り合いの方はが、B型肝炎ウイルスの保有者であり、肝硬変になっていないのに、肝臓がんとなり、驚きました。以下は専門家のコメントです。肝細胞癌は、ウイルス感染との関連性が明らかな、数少ないヒト悪性新生物の1である。世界中の肝細胞癌症例の70%以上が、B型肝炎ウイルス(HBV) あるいはC型肝炎ウイルス(HCV)に関連したものであり、これら2種のウイルスは最も重要な肝発癌因子とみなされている。
 現在のところHBV、HCVとも、発癌過程に対する直接的および間接的作用が示唆されている。「間接的」とは、慢性感染状態により誘導される患者/宿主 側の諸病態が、発癌促進的に作用することを指す。例えば、ウイルス感染に基づいた、壊死炎症反応による肝細胞の傷害と再生の繰り返しは、肝細胞の細胞老化 をもたらし、そのような老化肝細胞中での遺伝子の不安定性が重要な一要因であると理解されている。また、慢性炎症および肝硬変/線維化の成立ちに寄与して いる様々な増殖因子や活性酸素などは、発癌過程に促進的に作用しうることが知られており、その関与が示唆されている。
 「直接的」作用機序ついては、HBVとHCVの間で、若干の相違がある。その理由は、HBVがDNAウイルスであり、宿主のゲノムDNAに直接インテグ レーション可能であるのに対し、HCVはプラス鎖RNAウイルスで逆転写酵素を持たず、そのためウイルス遺伝子は肝細胞に感染後も細胞質内にとどまり、ゲ ノムDNAに直接影響することはないという、両者のウイルス学的な相違点にある。HBVは10代でも発がんすることがあると報告されているということです。

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